世の中の仕組みを描こうとするとアニメは失敗する。
『ガンダムSEED』と『奇鋼仙女ロウラン』。どちらも第一話から欠かさず観つづけているアニメなのですが、質としては『奇鋼仙女ロウラン』の方がはるかに上にしても、この2作品には共通点がありますね。それは正義が存在しないこと。どちらの作品も単純に2つの勢力が争う構図になっていますが、その2つの勢力のどちらも正しくもなければ、間違ってもいない。
『ガンダムSEED』は核で虐殺されたトラウマを持つザフトのコーディネーターが地球連邦に復讐を果たそうというお話ですが、ザフトの動機は分かりやすいし、逆に降りかかった火の粉は地球軍も払わずにはおられん。しかし、単純に感情移入できるのはそりゃあザフトですわな。でも、描かれるのは圧倒的に地球連邦の描写。ガンダムは元々勧善懲悪では割り切れない作品ですが、それでもコロニー落として人類を粛清しようと言うシャアに振り回されるよりはアムロを応援しますわな。なんだかんだいって、その線引きは守りつづけたからガンダムはあれだけ受けたと思っているのですが、ただやっぱりそういう線引きは有害以外の何者でもないですよね。世の中を悪と善だけで受け取るのは馬鹿の再生産を繰り返すだけですからね。そういう意味では主人公の性格を最悪に描いて、今週ではニコルという唯一の良心的キャラをできるだけ残酷に殺そうとするこのアニメの思想部分だけは支持したいとは思いますよ。ただ、そんな複雑な図式を描くにはスタッフの実力が無さ過ぎますわな(笑)。
そういう意味では『奇鋼仙女ロウラン』はまだマシですね。初めに萌えさせられた妹キャラも一途なキャラもみーんな実は道徳的には悪人だったという。キャラの立て方ではまだ『ガンダムSEED』よりはできているので、それなりに裏切られた感はありました。でも、やっぱり下手は下手だけどね(笑)。そのあとにやっている『プリンセスチュチュ』の方が受けてるしね。で、キャラの立て方が下手だから、初めに視聴者を惹き付けるのに失敗して、裏切られる展開に持っていった頃には誰も見ていなかったという……(笑えません)。
やっぱり初めから勧善懲悪的な線引きをしないとエンターテインメントは成立しないってのはよく分かりますよ。でも、イラク攻撃や北朝鮮問題ですらそういう図式で見ようとしている人間があまりに多い現状を見るとちょっとは馬鹿を作らないアニメも考えてくれとも思うよなあ。でも、押井守ですら何気に見たくないものは観なくてすむように仕組んだ作品作りをしているしなあ。
だから、あれだ。『明日のナージャ』あたり今後ストーリーを変えていこう。まず、怪盗『黒バラ』がある日盗った宝石が実はその貴族の奥さんの形見で失意のままその貴族は自殺すると。でも、その宝石を売ってバラ撒いた金のおかげで病気の父親を抱える子どもに病院へ連れて行く金が出来て父親は助かると。しかし、治ったところでその父親は働くところが無いので困り果てる。一方、その貴族の息子が父の復讐を果たそうと殺し屋を雇うことにする。その雇われた人間がまさにその貧民の父親。お腹をすかせた子どもを救うべく、一生懸命になって怪盗の正体を探るうちについに父親は黒バラがフランシスという名の貴族というであるということを知る。彼の奉仕精神を知った父親は、「お恵みくだせえ」と言いながら近づいて同情を引き、フランシスが近寄ったところで後ろ手に隠したナイフで一気に一刺し。一方、その頃旅芸人一座でフランシスの子どもを身ごもっていたナージャはフランシスを殺した黒幕に復讐を果たそうとその子を仕込む計画を練るのであった……。
素晴らしい……。今週の『カレイドスター』も途中でやっぱりトランポリンの出演を降ろされたあの意地悪な娘たちも影で必死に頑張っているとかそういう描写を入れて欲しかったよね。と、最後にまだあのアニメを見ることの出来ない東京人に嫌がらせしておしまい(笑)。
参考LINK
奇鋼仙女ロウラン
posted by 草 at 1:14 AM